初心者向け歴史講座!簡易版90年代ヴィジュアル系年表
2020年11月に公開したこちらの記事"ファン500人が選んだ「後世に伝えたい90年代ヴィジュアル系伝説の名盤」ベスト50"が、おかげさまで想定を大きく超えるアクセスを頂きました。これもひとえに投票に協力してくださった皆様方のおかげでございます。
そもそもこれは"これから90年代のヴィジュアル系に触れる人たちの指標となるようなディスクガイド"というテーマをもとにした記事。こういったビギナー向けの記事が好評であるならば続編を作成しましょうと考えたところ、次はやはり年表が必要なのではないかと。しかしヴィジュアル系年表なら他のサイトにあるのでは?と思い検索をかけてみる。どうやら90年代に特化した年表は皆無に等しい。筆者が老〜ROUGAN〜眼なので、他のサイトに詳細なヴィジュアル系年表があるのを見落としている可能性もあるし、音楽誌などに掲載されているのかもしれないが、これはやってみる価値があるぞという事で当サイトにおける簡易版90年代ヴィジュアル系年表を作成した。
ヴィジュアル系の歴史は見る人の世代や趣味嗜好によって大きく変わる。
一億総SNS時代。"解釈違い"という聖〜MINIKUI-ARASOI〜戦を繰り広げるオタクたちを見かけるのはもはや日常茶飯事となったが、こういった状況はヴィジュアル系王国も例外ではない。ヴィジュアル系王国には30年以上の歴史があり、その歴史の中でヴィジュアル系は様々な変化を遂げてきた。世代によってジェネレーションギャップが生じるのは当然だと言える。こうしたギャップは90年代ヴィジュアル系という限定した期間でも生まれる。90年代初頭にXやAIONで目覚めた人間と、バブル期のソフトヴィジュアル系で目覚めた人間の歴史観は果たして近いものになるのだろうか? ──だからこういった年表はいくつあってもいいのだと感じている。これを読んでいる皆様の元に他のヴィジュアル系年表があるのならば、それと見比べてみるのも面白いかもしれない。
またなぜ簡易版なのかというと、複雑な事象が絡み合ったヴィジュアル史を全て網羅する事は不可能と言っても過言ではないからだ。よって、いくつかのフィルターを通しポイントを設けて抽出する簡易年表とした。選出するバンドの基準は、ヴィジュアル系シーン出身のバンド、ヴィジュアル系シーンと関わりの深いバンド。シーンの礎を築きメジャー進出を果たしたバンドを中心に選出。バブル期は多くのアーティストがメジャー進出を果たした為、ホール/アリーナクラスのバンドから選出。これらのバンドの正式音源によるインディーズデビュー、メジャーデビューを主に記載した。
それでは創成期からLUNA SEA終幕前夜まで一挙プレイバック!!
【主な出来事】
- Xがシングル「I'LL KILL YOU」でインディーズデビュー
- BUCK-TICKや後のヴィジュアル系バンドに影響を与えたDER ZIBETがシングル「待つ歌」でメジャーデビュー
- XとHIDE率いるSAVER TIGER(当時SABER TIGER)が参加したオムニバスアルバム「HEAVY METAL FORCE III」がリリース
【そもそもヴィジュアル系って何?】
日本におけるクロスオーバームーブメント。パンクやヘヴィメタルなど従来のカテゴライズが通用しないバンド群に向けられた便宜的な総称。主にX JAPANやCOLORを中心としたシーン/ムーブメントから出てきたバンドを指す。詳しくはこちらの記事"今改めて考える「ヴィジュアル系」の基礎概念"を参照。
【主な出来事】
- D'ERLANGERがシングル「GIRL」でインディーズデビュー
- DYNAMITE TOMMYが設立したフリーウィルから、COLORがシングル「MOLT GRAIN」をリリース
- BUCK-TICKがインディーズ1stアルバム「HURRY UP MODE」をリリース
- JUSTY-NASTYがシングル「(HERE COME)TROUBLE / ROOM#13」でインディーズデビュー
- AIONがシングル「HANG ON NIGHT」でインディーズデビュー
- DEAD ENDがメジャーデビューアルバム「GHOST OF ROMANCE」をリリース
- BUCK-TICKが映像作品「バクチク現象 at THE LIVE INN」をリリース、メジャーデビュー
- BUCK-TICKがメジャー1stアルバム「SEXUAL×××××!」をリリース
【主な出来事】
- COLORがインディーズ1stアルバム「激突 ! !」をフリーウィルからリリース
- BUCK-TICKがミニアルバム「ROMANESQUE」をリリース
- Xがインディーズ1stアルバム「Vanishing Vision」をエクスタシーレコードからリリース
- LADIES ROOMがシングル「SWAPPING PARTY」をエクスタシーレコードからリリース
- BUCK-TICKが「JUST ONE MORE KISS」にて第30回日本レコード大賞 新人賞を受賞
【エクスタシーレコード、フリーウィルって何?】
東のエクスタシー、西のフリーウィルと呼ばれた二大インディーズレーベル。エクスタシーレコードはYOSHIKIが設立、LUNA SEAなどを輩出した。フリーウィルはDYNAMITE TOMMY(COLOR)が設立、Dir en greyなどを輩出した。これがヴィジュアル系シーン確立の礎となる。
【主な出来事】
- BUCK-TICKがアルバム「TABOO」をリリース
- BUCK-TICKが初の日本武道館公演を2DAYSにて開催
- D'ERLANGERがインディーズ1stアルバム「LA VIE EN ROSE」をリリース
- ZI:KILLがアルバム「真世界〜REAL OF THE WORLD〜」をエクスタシーレコードからリリース、インディーズデビュー
- Xがメジャーデビューアルバム「BLUE BLOOD」をリリース
- Gargoyleがシングル「蠢(うごめき)」でインディーズデビュー
- JUSTY-NASTYがメジャーデビューアルバム「CRASH」をリリース
- かまいたちがアルバム「いたちごっこ」でインディーズデビュー
- COLORが映像作品「SHOCK TREATMENT」でメジャーデビュー
- BUCK-TICKが初の東京ドーム公演を開催
【主な出来事】
- DEAD ENDからドラマーのMINATO/湊雅史が脱退し事実上の解散状態に
- D'ERLANGERがシングル「DARLIN'」でメジャーデビュー
- STRAWBERRY FIELDSがアルバム「DANCERAMA」でインディーズデビュー
- BUCK-TICKがアルバム「悪の華」をリリース
- Xが初の日本武道館公演を開催
- BY-SEXUALシングル「SO BAD BOY」でメジャーデビュー
- 音楽雑誌「FOOL'S MATE」がヴィジュアル系バンドを主に扱うスタイルへ
- D'ERLANGERがメジャー1stアルバム「BASILISK」をリリース
- ZI:KILLがアルバム「CLOSE DANCE」をエクスタシーレコードからリリース
- かまいたちが映像作品「狂乱舞踏 かまち京都にカエル」でメジャーデビュー
- MORRIE(DEAD END)がシングル「パラドックス」でソロデビュー
- ヴィジュアル系専門誌「SHOXX」創刊
- Gilles de Raisがアルバム「DAMNED PICTURES」でインディーズデビュー
- Eins:Vierがアルバム「CHAOS MODE」でインディーズデビュー
- D'ERLANGERが解散を発表、メジャーデビュー後わずか11ヶ月での解散となった
【ヴィジュアル系三大聖典】
この年にリリースされたBUCK-TICK「悪の華」、D'ERLANGER「BASILISK」 、ZI:KILL「CLOSE DANCE」が、ヴィジュアル系の王道と呼ばれるスタイルを作り上げたと言われている。90年代ヴィジュアル系ムーブメントを知る上で絶対に押さえておきたい三作。詳しくはこちらの記事"「ヴィジュアル系ビートロック」そして「ソフトヴィジュアル系」へ ~伝説的ロックバンドBOØWYの系譜を辿る~"を参照。
【主な出来事】
- 音楽雑誌「SHOXX」で"ヴィジュアル系"という言葉が記事に使われる
- Luis-Mary がシングル「Lainy Blue」でインディーズデビュー
- BUCK-TICKがアルバム「狂った太陽」をリリース
- LADIES ROOMがメジャーデビューアルバム「Made in SEX」をリリース
- ZI:KILLがシングル「LONELY」でメジャーデビュー
- STRAWBERRY FIELDSがメジャーデビューアルバム「nouvelle parfum」をリリース
- LUNA SEAがアルバム「LUNA SEA」をエクスタシーレコードからリリース、インディーズデビュー
- 東京ヤンキースがアルバム「DO THE DIRTY」をエクスタシーレコードからリリース、インディーズデビュー
- Xがアルバム「Jealousy」をリリース
- Luis-Maryがメジャーデビューアルバム「DAMAGE」をリリース
- Xが初の東京ドーム公演を開催
- かまいたちが解散
- AIONがシングル「BE-AFRAID」でメジャーデビュー
- EXTASY SUMMIT 1991が日本武道館にて行われる
- Xがアルバム「Jealousy」にて第33回日本レコード大賞 優秀アルバム賞を受賞
- BUCK-TICKがアルバム「狂った太陽」にて第33回日本レコード大賞 優秀アルバム賞を受賞
- Xが第42回NHK紅白歌合戦に初出場
【主な出来事】
- Xが日本人アーティストとして初となる東京ドーム3DAYS公演「破滅に向かって」を開催
- XからベーシストTAIJIが脱退
- 小室哲哉とYOSHIKIによるユニットV2がシングル「背徳の瞳〜Eyes of Venus〜」をリリース
- DIE IN CRIESがシングル「MELODIES」でメジャーデビュー
- BUCK-TICKがアルバム「殺シノ調べ This is NOT Greatest Hits」をリリース
- 幻覚アレルギーがアルバム「Mouth to Mouth」をフリーウィルからリリース、インディーズデビュー
- LUNA SEAがメジャーデビューアルバム「IMAGE」をリリース
- ex.かまいたちのCRAZY DANGER NANCY KENchanことKENZIがアナーキストレコードを設立
- 黒夢が「中絶」でインディーズデビュー
- XがNYのロックフェラーセンターで海外進出発表記者会見を行う
- XがX JAPAN(当初はX from JAPAN)への改名、HEATH加入を発表
- Toshlがシングル「made in HEAVEN」でソロデビュー
- EXTASY SUMMIT 1992が日本武道館、大阪城ホールにて行われる
- THE DEAD POP STARSがアルバム「THE DEAD POP 4 DRUGS」でインディーズデビュー
- L'Arc-en-Cielがシングル「Floods of tears/夜想花」でインディーズデビュー
- 黒夢がミニアルバム「生きていた中絶児」をリリース
- Xが第43回NHK紅白歌合戦に出場、テーマソングをYOSHIKIが手がけた
- media youthがアルバム「Awake of youth」をエクスタシーレコードからリリース、インディーズデビュー
- Valentine D.C.がアルバム「SAINT」でインディーズデビュー
- ZI:KILLが初の日本武道館公演を開催
- DEEPがアルバム「DEAR ROCKERS」をエクスタシーレコードからリリース、インディーズデビュー
- Luis-Maryが解散
- REDIEAN;MODEがアルバム「HYSTERIC」でインディーズデビュー
- Gargoyleが映像作品「タントラ・マントラ」でメジャーデビュー
- L'Arc-en-Cielがアルバム「DUNE」をリリース
- LUNA SEAがアルバム「EDEN」をリリース
- YOSHIKIがソロ名義でアルバム「Eternal Melody」シングル「Amethyst」をリリース
- LADIES ROOMが初の日本武道館公演を開催
- 黒夢がアルバム「亡骸を・・・」をリリース
- 黒夢の爆発的な人気を受けて、中京圏ヴィジュアル系シーンで活動するバンドが"名古屋系"として注目される
- Gilles de Raisがメジャーデビューアルバム「Gilles de Rais」をリリース
- BUCK-TICKがアルバム「darker than darkness -style 93-」をリリース
- Sleep My Dearがアルバム「MOVE」でインディーズデビュー
- hideがシングル「EYES LOVE YOU」「50%&50%」でソロデビュー
- X JAPANが「ART OF LIFE」をリリース
- 東京ヤンキースがメジャーデビューアルバム「GHOSTRIDER」をリリース
- PATAがアルバム「PATA」でソロデビュー
- DIE IN CRIESが初の日本武道館公演を開催
- X JAPANがMUSIC STATION Special SUPER LIVE 93に出演
- X JAPANが東京ドーム2DAYS公演「新型エックス第1弾 日本直撃カウントダウン X JAPAN RETURNS」を開催
- X JAPANが第44回NHK紅白歌合戦に出場
【新ヴィジュアル系三大聖典】
ヴィジュアル系の新たな王道を提示した91年発表のLUNA SEA「LUNA SEA」、そしてこの年にリリースされた黒夢「亡骸を・・・」、L'Arc-en-Ciel「DUNE」が新ヴィジュアル系三大聖典と言われている。この三作品が後続バンドの新たな教科書となり、ヴィジュアル系のサブジャンル「コテ系」「名古屋系」「白系」を確立した。
【コテ系って何?】
ヴィジュアル系の王道要素をデフォルメし過剰にデコラティブしたスタイルを指す。90年代においては、主にLUNA SEAや黒夢の影響を感じさせるバンドが多い。初期のDir en greyなどがこのスタイルに当たる。当サイトにて解説記事を掲載予定、震えて待て。
【名古屋系って何?】
広義では中京圏ヴィジュアル系シーンを出自に持つバンドの総称、狭義ではポジティブパンク/ゴシックを基盤に当時の王道よりも"よりダークでよりコア"なものを目指した黒夢などの系譜に連なるバンドの音楽性を表す言葉として使われている。詳しくはこちらの記事"「名古屋系」その謎を紐解く、オールドスクール名古屋系ヒストリー"と"「ヴィジュアル系ビートロック」そして「ソフトヴィジュアル系」へ ~伝説的ロックバンドBOØWYの系譜を辿る~"を参照。
【白系って何?】
攻撃的でダークなイメージを持つバンドが主流だった当時のヴィジュアル系シーンにおいて、真逆の幻想的で透明感溢れる世界観を提示したL'Arc-en-Cielを始祖とするスタイル。ライバル的な存在の黒夢が黒系(後にコテ系)と呼ばれていたのに対し白系と呼ばれた。当サイトにて解説記事を掲載予定、震えて待て。
【主な出来事】
- CASCADEがアルバム「APOLLO EXERCISER」でインディーズデビュー
- 黒夢がシングル「for dear」でメジャーデビュー
- hideがアルバム「HIDE YOUR FACE」をリリース
- 黒夢がアルバム「迷える百合達〜Romance of Scarlet〜」をリリース
- 幻覚アレルギーがメジャーデビューアルバム「PSYCHE:DELIC」をリリース
- BODYがシングル「I LOVE YOU」でメジャーデビュー
- ROUAGEがシングル「SILK」でインディーズデビュー
- Laputaが「私が消える」でインディーズデビュー
- BODYがデビューライブを日本武道館にて開催(直後に解散を発表)
- GLAYがメジャーデビューシングル「RAIN」、インディーズアルバム「灰とダイヤモンド」を同時リリース
- PENICILLINがアルバム「Penicillin Shock」でインディーズデビュー
- ZI:KILLが解散
- L'Arc-en-Cielが映像作品「眠りによせて」でメジャーデビュー
- L'Arc-en-Cielがアルバム「Tierra」をリリース
- LUNA SEAのシングル「ROSIER」「TRUE BLUE」が続けてヒット
- KYOがシングル「月と太陽」でソロデビュー
- MALICE MIZERがアルバム「memoire」でインディーズデビュー
- LUNA SEA、SOFT BALLET、BUCK-TICKによる伝説のイベントツアー「LSB」が開催
- 黒夢がミニアルバム「Cruel」をリリース
- REDIEAN;MODEがシングル「目の前の絶望を愛して」でメジャーデビュー
- Valentine D.C.がメジャーデビューアルバム「パロディ」をリリース
- DEEPがメジャーデビューアルバム「DO YOU LOVE ME?」をリリース
- La'cryma Christiが「Siam's Eye」でインディーズデビュー
- LUNA SEAがアルバム「MOTHER」をリリース
- SHAZNAがアルバム「Sophia」でインディーズデビュー
- FANATIC◇CRISISがアルバム「太陽の虜」でインディーズデビュー
- SIAM SHADEがアルバム「SIAM SHADE」でインディーズデビュー
- MUSIC STATION Special SUPER LIVE 94にX JAPAN、LUNA SEAが出演
- LUNA SEAが「ROSIER」にて第36回日本レコード大賞 ミュージックビデオ賞を受賞
- X JAPANが第45回NHK紅白歌合戦に出場
- X JAPANが東京ドーム2DAYS公演「青い夜」「白い夜」を開催
【空前絶後の盛り上がりをみせるヴィジュアル系シーン】
メジャーシーンではLUNA SEAがブレイクを果たし、黒夢とL'Arc-en-Cielがメジャーデビュー。GLAYもYOSHIKIプロデュースにて華々しいデビューを飾った。インディーズシーンでは、その後ヴィジュアル系四天王と呼ばれるバンドたちが徐々に頭角を現し始める。TVや新聞などのメディアで「今、お化粧系のバンドが熱い!!」という特集が組まれるなどヴィジュアル系シーンはかつてない盛り上がりをみせた。
- heathが「heath」でソロデビュー
- JUSTY-NASTYが解散
- GLAYがアルバム「SPEED POP」をリリース
- SOPHIAが「SOPHIA」でインディーズデビュー
- media youthがシングル「Missing」でメジャーデビュー
- 黒夢がアルバム「feminism」をリリース
- BUCK-TICKがアルバム「Six/Nine」をリリース
- Gilles de Raisが解散
- DIE IN CRIESが解散
- Eins:Vierがシングル「Dear Song」でメジャーデビュー
- Sleep My Dearがシングル「Ask for Eyes」でメジャーデビュー
- L'Arc-en-Cielがアルバム「heavenly」をリリース
- CRAZEがシングル「NAKED BLUE」でメジャーデビュー
- nuvɔ:gu(vogue)がシングル「SENSUAL WORLD」でメジャーデビュー
- SOPHIAがメジャーデビューアルバム「BOYS」をリリース
- MALICE MIZERにGackt加入
- SIAM SHADEがシングル「RAIN」でメジャーデビュー
- CASCADEがメジャーデビューアルバム「VIVA!」をリリース
- Plastic Treeがアルバム「Strange fruits-奇妙な果実-」でインディーズデビュー
- 黒夢が初の日本武道館公演を2DAYSにて開催
- LUNA SEAが初の東京ドーム公演「LUNATIC TOKYO」を開催
- L'Arc-en-Cielが初の日本武道館公演を開催
- MUSIC STATION Special SUPER LIVE 95にX JAPAN、LUNA SEAが出演
X JAPANが「DAHLIA TOUR 1995-1996」東京ドーム2DAYS公演を開催
【脱・黒服現象って何?】
染髪、長髪、立髪、妖艶なメイクに黒服がヴィジュアル系の定石とされていたが、黒夢とREDIEAN;MODEを筆頭にヴィジュアル系バンドが1994年ごろから原宿系ファッションを取り入れ"脱・黒服/フェミニンな美少年化"していった現象。これがソフトヴィジュアル系やゼロ年代オサレ系(お洒落系)に繋がっていった。詳しくはこちらの記事"「ヴィジュアル系ビートロック」そして「ソフトヴィジュアル系」へ ~伝説的ロックバンドBOØWYの系譜を辿る~"を参照。
【ソフトヴィジュアル系って何?】
従来のヴィジュアル系よりソフトなメイク、黒を基調としないカジュアルな衣装、メロディアスな歌モノのロックを主とするバンドを指す。音楽性は様々。詳しくはこちらの記事"「ヴィジュアル系ビートロック」そして「ソフトヴィジュアル系」へ ~伝説的ロックバンドBOØWYの系譜を辿る~"を参照。
【主な出来事】
- GLAYがアルバム「BEAT out!」をリリース
- ヴィジュアル系シーンとも関わりが深いGUNIW TOOLSが映像作品「1992-1994」でメジャーデビュー
- LADIES ROOMが解散
- PENICILLINがシングル「Blue Moon / 天使よ目覚めて」でメジャーデビュー
- LUNA SEAがアルバム「STYLE」をリリース
- ROUAGEがシングル「Queen」でメジャーデビュー
- ex.Luis-Maryの西川貴教がT.M.Revolutionとしてデビュー、翌年大ブレイクを果たす
- 黒夢がアルバム「FAKE STAR〜I'M JUST A JAPANESE FAKE ROCKER〜」をリリース
- MALICE MIZERがアルバム「Voyage Sans retour」をリリース
- BUCK-TICKがアルバム「COSMOS」をリリース
- PIERROTがアルバム「パンドラの匣」をリリース(キリトがボーカル転向後の1stアルバム)
- PENICILLINが初の日本武道館公演を2DAYSにて開催
- hideがアルバム「PSYENCE」をリリース
- hideが"フェス"の先駆けとなる野外ロックフェスティバル「hide Indian Summer Special」を千葉マリンスタジアムにて開催
- GLAYが初の日本武道館公演を開催
- PENICILLINのHAKUEIと千聖がソロデビュー
- Laputaがシングル「硝子の肖像」でメジャーデビュー
- ヴィジュアル系バンドを中心とした音楽番組「Break Out」放送開始
- X JAPANがアルバム「DAHLIA」をリリース
- GLAYがアルバム「BELOVED」をリリース
- L'Arc-en-Cielがアルバム「TRUE」をリリース
- LUNA SEAが「真冬の野外 」を横浜スタジアムにて開催
- LAREINEがアルバム「BLUE ROMANCE」でインディーズデビュー
- MUSIC STATION Special SUPER LIVE 96にX JAPAN、LUNA SEA、GLAYが出演
- X JAPANが東京ドーム2DAYS公演「復活の夜」「無謀な夜」を開催
【ソフト化したヴィジュアル系バンドの商業的成功】
LUNA SEAに続き、華の94年組もブレイクを果たしていく。GLAYのシングル「BELOVED」が80万枚を超える大ヒット、同タイトルのアルバムは150万枚を超えミリオンセラーを達成した。L'Arc-en-Cielも、シングルを立て続けにヒットさせ、アルバム「True」がミリオンセラーを記録する。両者はヴィジュアル系シーン出身のバンドという枠を超えて一般層からの支持を獲得し、国民的ポップスターとしての地位を築いていく。ソフト化の先陣を切った黒夢は反旗をひるがえすようにパンクモードへ移行し、コアな男性ファンを獲得していく。清春はファッションリーダーとしても支持された。こうした商業的成功がヴィジュアル系バンドのバブル状況を生む。
【主な出来事】
- 河村隆一がシングル「I love you」でソロデビュー、ソロアーティストとして大ブレイクを果たす
- REDIEAN;MODEが解散
- La'cryma Christiがシングル「Ivory trees」でメジャーデビュー
- THE DEAD POP STARSがメジャーデビューアルバム「D・P・S」をリリース
- Jがシングル「BURN OUT」でソロデビュー
- Plastic Treeがシングル「割れた窓」でメジャーデビュー
- 黒夢がアルバム「Drug TReatment」をリリース
- SUGIZOがシングル「LUCIFER」でソロデビュー
- MALICE MIZERがシングル「ヴェル・エール~空白の瞬間の中で~」でメジャーデビュー
- Dir en greyがミニアルバム「MISSA」でインディーズデビュー
- SUGIZOがフジロックフェスティバル 1997のメインステージに出演予定であったが、台風の直撃を受け開催中止
- SIAM SHADEのシングル「1/3の純情な感情」が70万枚に迫る大ヒット
- FANATIC◇CRISISがシングル「SUPER SOUL」でメジャーデビュー
- SHAZNAがシングル「Melty Love」でメジャーデビュー、90万枚に迫る大ヒット
- SOPHIAが初の日本武道館公演を開催
- X JAPANが解散を発表
- INORANがシングル「想」でソロデビュー
- 真矢がシングル「落下する太陽」でソロデビュー
- GLAYがベストアルバム「REVIEW~BEST OF GLAY」をリリース、発売1週間で300万枚を突破する歴史的大ヒットを記録
- L'Arc-en-CielからSakuraが脱退
- BUCK-TICKがアルバム「SEXY STREAM LINER」をリリース
- L'Arc-en-Cielが初の東京ドーム公演「1997 REINCARNATION」を開催
- MUSIC STATION Special SUPER LIVE 97にX JAPAN、河村隆一、GLAY、L'Arc-en-Ciel、SHAZNAが出演
- GLAYが「BELOVED」にて第39回日本レコード大賞 アルバム大賞を受賞
- GLAYが「HOWEVER」にて第39回日本レコード大賞 優秀作品賞を受賞
- 第48回NHK紅白歌合戦にX JAPAN、河村隆一、GLAYが出場
- X JAPANが解散ライブ「THE LAST LIVE〜最後の夜〜」を東京ドームにて開催
【ヴィジュアル系四天王って何?】
いわゆるヴィジュアル系バブルと呼ばれるこの年にメジャーデビューを果たしたSHAZNA、La'cryma Christi、MALICE MIZER、FANATIC◇CRISISの四組を指す。これはヴィジュアル系バンドを中心とした音楽番組「Break Out」がバンドを売り出す為に作ったもので、ファンコミュニティーから生まれた呼称ではない。
【主な出来事】
- L'Arc-en-Cielにyukihiroが正式メンバーとして加入
- CASCADEが初の日本武道館公演を開催
- PENICILLINのシングル「ロマンス」が90万枚に迫る大ヒット
- hideがhide with Spread Beaver名義でシングル「ROCKET DIVE」をリリース
- L'Arc-en-Cielがアルバム「HEART」をリリース
- MALICE MIZERがアルバム「merveilles」をリリース
- MALICE MIZERが初の日本武道館公演を開催
- Raphaelがミニアルバム「LILAC」でインディーズデビュー
- Janne Da Arc がアルバム「Dearly」でインディーズデビュー
- SEX MACHINEGUNSがシングル「HANABI-la大回転」でメジャーデビュー
- hide逝去
- 黒夢がアルバム「CORKSCREW」をリリース
- cali≠gariがミニアルバム「第3実験室」でインディーズデビュー
- L'Arc-en-Cielがシングル「HONEY」「花葬」「浸食 〜lose control〜」3枚同時リリース
- MALICE MIZERが横浜アリーナ公演を開催、その後Gacktが失踪し事実上脱退となる
- LUNA SEAがアルバム「SHINE」をリリース
- hideが生前温めていたニューバンドzilchのアルバム「3・2・1」がリリース
- GLAYがアルバム「pure soul」をリリース
- LUNA SEAが横浜スタジアム2DAYS公演「1998 REVIVE 真夏の野外」を開催
- SHAZNAが初の日本武道館公演を2DAYSにて開催
- PIERROTがシングル「クリア・スカイ」でメジャーデビュー
- Dir en greyがメジャー進出前に初の日本武道館公演を開催
- hideのアルバム「Ja,Zoo」がリリース
- La'cryma Christiが初の日本武道館公演を開催
- LUNA SEAが東京ドーム2DAYS公演「END OF PERIOD」を開催
- MUSIC STATION Special SUPER LIVE 98にLUNA SEA、GLAY、L'Arc-en-Cielが出演
- GLAYが「pure soul」にて第40回日本レコード大賞 ベストアルバム賞を受賞
- GLAYが「SOUL LOVE」にて第40回日本レコード大賞 優秀作品賞を受賞
- L'Arc-en-Cielが「HONEY」にて第40回日本レコード大賞 優秀作品賞を受賞
- 第49回NHK紅白歌合戦にLUNA SEA、GLAY、L'Arc-en-Cielが出場
【進むヴィジュアル系の産業化〜バブル景気に沸くメジャーシーンとインディーズシーン〜】
CDの売上げがピークを迎えた1998年、ヴィジュアル系シーンもバブル景気に沸いていた。メジャーシーンではポストGLAY、ポストL'Arc-en-Cielを狙いソフトヴィジュアル系バンドが続々とデビューを飾った。また、インディーズシーンではヴィジュアル系インディーズレーベルの設立が相次いでいた。これらのレーベルからコテ系と呼ばれるバンドをメインにヴィジュアル系バンドのインディーズ作品が大量にリリースされた。
【新勢力の台頭】
この年に初のCD作品をリリースしたcali≠gariの台頭は、特筆すべきエポックメイキングな出来事であろう。彼らをきっかけにサブカル/アングラテイストを持ったバンドがシーンに増殖し始める。この流れは00年代に密室系、オサレ系(お洒落系)などと呼ばれたムーブメントを生み出す大きな引き金となる。
【主な出来事】
- Dir en greyがシングル「アクロの丘」「残-ZAN-」「ゆらめき」3枚同時リリースでメジャーデビュー
- 黒夢が100会場全112公演に及ぶ「TOUR Many SEX Years vol.5 CORKSCREW A GO GO!」のツアーファイナル公演にて無期限活動停止を発表
- GLAYが「GLAY DOME TOUR “pure soul” 1999」を開催、全国4ケ所15公演で75万人を動員
- PIERROTが初の日本武道館公演を開催
- ROUAGEが初の日本武道館公演を開催
- Gacktがミニアルバム「Mizerable」でソロデビュー
- Janne Da Arc がシングル「RED ZONE」でメジャーデビュー
- LAREINEがシングル「fiançailles 〜フィアンサーユ〜」でメジャーデビュー
- LUNA SEAが東京ビッグサイトスペシャルオープンステージにて「 [NEVER SOLD OUT] CAPACITY ∞」を開催、10万人を動員
- MALICE MIZERのKami逝去
- L'Arc-en-Cielがアルバム「ark」「ray」を同時リリース
- 元MALICE MIZER、BY-SEXUAL、L'Arc-en-Cielのメンバーで結成されたバンドZIGZOがシングル「血と汗と涙の裏側のハッピー」でメジャーデビュー
- PIERROTがアルバム「FINALE」をリリース
- 清春のニューバンドSADSがシングル「TOKYO」でメジャーデビュー
- L'Arc-en-Cielが野外ライブツアー「1999 GRAND CROSS TOUR」を開催、全国6ケ所12公演で65万人を動員
- Raphaelがシングル「花咲く命ある限り」でメジャーデビュー
- Dir en greyがアルバム「GAUZE」をリリース
- GLAYが幕張メッセ駐車場特設ステージにて「GLAY EXPO '99 SURVIVAL」を開催、日本音楽史上に残る20万人を動員
- 富士急ハイランド・コニファーフォレストにて開催されたマリリン・マンソン主催のロックフェスティバル「BEAUTIFUL MONSTERS TOUR 1999」にBUCK-TICKとPIERROTが出演
- SADSがアルバム「SAD BLOOD ROCK'N'ROLL」をリリース
- GLAYがアルバム「HEAVY GAUGE」をリリース
- Eins:Vierが解散
- Valentine D.C.が解散
- 天皇陛下御即位十年をお祝いする国民祭典にYOSHIKIとGLAYが出席
- LUNA SEAとGLAYによる東京ドーム公演「The Millennium Eve」が開催
- MUSIC STATION Special SUPER LIVE 99にGLAY、L'Arc-en-Ciel、SIAM SHADEが出演
- GLAYが「Winter,again」にて第41回日本レコード大賞を受賞
- L'Arc-en-Cielが「ark」「ray」にて第41回日本レコード大賞 ベストアルバム賞を受賞
- 第50回NHK紅白歌合戦にGLAY、L'Arc-en-Cielが出場
【ムーブメントの沈静化】
Dir en greyなど次世代を担うバンドが続々とメジャーデビューを飾ったこの年。だが約10年にも渡り隆盛を極めたヴィジュアル系ムーブメントは、90年代の終わりと共にその勢いを失っていく。ムーブメントが沈静化に至った原因として、X JAPANやhideというリーダー的存在を失ってしまった事、2000年のLUNA SEA終幕、バブル景気に便乗したヴィジュアル系バンドの青田刈り、新たなユースカルチャーの台頭など様々な要因が考えられる。
簡易版90年代ヴィジュアル系年表、いかがだっただろうか?
年表を作成しておきながら、身も蓋もない事を言ってしまえば"時代の空気感"というのはリアルタイムで体験した人間にしか知り得ないものである。例えば今のヴィジュアル系が好きな子達に、90年代のヴィジュアル系バンドが髪を短くしてカジュアルなファッションを纏い始めた時の衝撃を完璧に理解してもらうのは難しいだろう。
当サイトではそういったデータからは見えてこない"当時の肌感覚"を少しでも共有すべく、90年代ヴィジュアル系にまつわるコラムをこれからも執筆していく所存です。
この年表をきっかけに他の記事にも目を向けてもらえれば幸いだ。
TEXT:管理人
2021.01.27
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