BACK TO THE 1990 〜ヴィジュアル系黄金時代を振り返る〜

歴史的名盤と共に1990年を振り返る

今回のコラムでは"BACK TO THE 1990"と題して、今から30年前となる1990年のヴィジュアルシーンを振り返る。だが、複雑な事象が絡み合ったヴィジュアル系史を全て網羅する事は困難を極める。いや、不可能と言っていいだろう。よって、いくつかのフィルターを通しポイントを設けて抽出していく。記述する出来事は、オリジナルアルバム(広く流通した作品に絞る)のリリースを主に、メジャーデビュー、バンドの解散/活動休止など文献から確証を得ることができるものを抽出していく。選出するアーティストの基準は、ヴィジュアル系シーン出身のアーティスト、ヴィジュアル系シーンと関わりの深いアーティストとする。それでは数多の歴史的名盤と共に黄金時代の幕開けとなった1990年をプレイバックしていきたい。


1990年01月

メンバー逮捕による謹慎期間を経て、東京ドーム公演"バクチク現象"を成功させたBUCK-TICKがシングル「悪の華」をリリース。オリコンチャート1位を記録した。1989年にDANGER CRUE RECORDSよりリリースしたアルバム「LA VIE EN ROSE」を大ヒットさせシーンを塗り替えたD'ERLANGERは、シングル「DARLIN'」でBMGビクター/ariolaからメジャーデビュー。DEAD ENDからは1月20日中野サンプラザでのライブをもってドラマーのMINATO/湊雅史が脱退、これがDEAD ENDの事実上ラストライブとなった。福井祥史(ex.D'ERLANGER)とLEZYNA(ex.JUSTY-NASTY)を中心に結成されたSTRAWBERRY FIELDSは、キャプテンレコード/wonder forceから1stアルバム「DANCERAMA」をリリースした。

(写真 左:D'ERLANGER 写真 中央:DEAD END 写真 右:STRAWBERRY FIELDS)


1990年02月

BUCK-TICKが、5枚目のオリジナルアルバムとなる「悪の華」をビクターインビテーションからリリース。「悪の華」はオリコン年間ランキング20位を記録した。また、BUCK-TICKはインディーズレーベルでリリースされた1stアルバムの復刻リミックス盤『HURRY UP MODE (1990MIX)』もリリースした。Xは過労性神経循環無力症で倒れていたYOSHIKIの復活ライブを日本武道館にて行い、中断していた全国ツアー "ROSE & BLOOD TOUR" を再開した。フリーウィルからはBY-SEXUALがメジャーデビュー、ポニーキャニオンからシングル「SO BAD BOY」をリリースした。かまいたちはテレビアニメ"つる姫じゃ〜っ!"の主題歌としてシングル「はちゃめちゃ姫」をVAPからリリース。関西の爆獣 AIONはLP「DEATHRASH BOUND」のヴォーカルパートを現任者に差し替えたアルバム「HUMAN GRIEFMAN」をナイトギャラリーからリリースした。音楽雑誌「FOOL'S MATE」は2月3月合併号からヴィジュアル系バンドを主に扱うスタイルへ変更した。

(上段 写真 左:BUCK-TICK 写真 右:BY-SEXUAL)

(下段 写真 左:かまいたち 写真 右:AION)

1990年03月

Xが第4回日本ゴールドディスク大賞にて"NEW ARTIST OF THE YEAR"を受賞する。1月にシングル「DARLIN'」でメジャー進出したD'ERLANGERは、メジャーデビューアルバム「BASILISK」をBMGビクター/ariolaからリリース。BY-SEXUALはシングル「BE FREE」をポニーキャニオンからリリースした。エクスタシーレコード/GHOST DISKからは、ZI:KILLの2ndアルバム「CLOSE DANCE」がリリースされた。ジャケットアートは漫画家の楠本まきが手がけている。

(写真 左:D'ERLANGER 写真 右:ZI:KILL)

1990年04月

Xがメジャーデビューアルバム「BLUE BLOOD」に収録していた「WEEK END」のNEW ARRANGE VERSIONをソニーからシングルリリース。「WEEK END」はオリコン年間シングルランキング32位を記録。DEAD ENDはシングル「GOOD MORNING SATELLITE」をBMGビクターからリリース。2月にメジャーデビューしたBY-SEXUALは1stアルバム「Culture Shock」をポニーキャニオンからリリースした。エクスタシーレコードからは、media youthやhide with Spread Beaverなどで知られるKIYOSHI、Dragon AshのベーシストIKUZONE/馬場育三も在籍していたVIRUSの「MATERIALS」がリリースされた。

(写真:X)

1990年05月

かまいたちがVHS「狂乱舞踏 かまち京都にカエル」にてVapからメジャーデビュー。JUSTY NASTYはPolystar/GERONIMOから4thアルバム「Justy Nasty」をリリース。エクスタシーレコードからは、EX-ANSの「Habit Of Sex」がリリースされた。ヴォーカルの麗/鈴木晃二は後にDEEPを結成。

(写真 左:かまいたち 写真 右:EX-ANS)

1990年06月

"Rose & Blood Tour"を終えたXはアルバム「Jealousy」レコーディング準備のため活動を休止。

(写真:X@5月17日大阪城ホール "Rose & Blood Tour")


1990年07月

DEAD ENDが1990年1月20日中野サンプラザで行われたライブを収録した2枚組ライブアルバム「DEAD END 」をBMGビクターからリリース、本年DEAD ENDは活動停止し事実上の解散状態となる。後にINSPIRAL GARDEN、HYPERM∀NIAを結成するメンバーが在籍していたSHADooWがミニアルバム「Epicureanism」をSTEPS RECORDSからリリース。

(写真 左:DEAD END 写真 右:SHADooW)

1990年08月

BUCK-TICKが西武球場、大阪駅西コンテナヤードにて初の野外ワンマンライブ"A Midsummer Night's Dream"を開催。不慮の事故により活動を自粛していたCOLORが復活シングルとなる「SOME BECOME STRANGER」を日本クラウンからリリース、MZA有明で復活無料GIGを行った。

(上段 写真:BUCK-TICK@8月2日西武球場 "A Midsummer Night's Dream")

(下段 写真:COLOR)


1990年09月

かまいたちがメジャーデビューアルバム「はちゃめちゃ狂」をトイズファクトリーからリリース。D'ERLANGERは2ndシングル「LULLABY -1990-」をBMGビクター/ariolaからリリース。STRAWBERRY FIELDSは2ndアルバム「Charme」をキャプテンレコード/MEDITATION RECORDSからリリースした。

(写真 左: D'ERLANGER 写真 中央:かまいたち 写真 右:STRAWBERRY FIELDS)

1990年10月

DEAD ENDのMORRIEがソロデビューシングル「パラドックス」をBMGビクターからリリース。ZI:KILLは渋谷公会堂でのライブにて東芝EMIからメジャーデビューする事を発表した。フリーウィルからは、かまいたちのボーカリストSCEANAの実兄NAOKIがヴォーカルを務めるDECAMERONの「名曲アルバム」がリリースされた。Gilles de RaisはMOON DROPSより1stミニアルバム「DAMNED PICTURES」をリリース。Eins:VierはafterZEROより1stミニアルバム「CHAOS MODE」をリリース。当時のドラマーは恩田快人(JUDY AND MARY)が在籍していたPRESENCEのHIBARI。また、当時のシーンを切り取ったオムニバス「THE END OF THE CENTURY ROCKERS~EMERGENCY EXPRESS II~」がリリースされた。当記事でピックアップしたDECAMERON/Gilles de Rais/Eins:Vier/SHAD∞Wの他に東京YANKEESmedia youthの前身バンドにあたるSWEET DEATH、BILLY & THE SLUTSなどが参加している。この他にヴィジュアル系専門誌である「SHOXX」も創刊した。

(写真 左:Gilles de Rais 写真 右:Eins:Vier)

1990年11月

インディーズシーンで快進撃を続けていたLUNACYがバンド名を"LUNA SEA"に改名。MORRIEは1stソロアルバム「ignorance」をBMGビクターからリリース。BY-SEXUALは2ndアルバム「SEXUALTY」をポニーキャニオンからリリースした。JUSTY NASTYはPolystar/GERONIMOからミニアルバム「すべてをこの夜に」をリリース。AIONはミニアルバム「MA-G-MA」をナイトギャラリーからリリース。同じく関西シーンをリードするGargoyleはafterZEROより2ndアルバム「檄」をリリース。

(写真 左:LUNA SEA 写真 中央:JUSTY NASTY 写真 右:Gargoyle)

1990年12月

Xが「X FILM GIGS~血と薔薇にまみれて~」をスタート。前代未聞、本人不在のフィルムコンサートにも関わらず延べ8万人を動員した。また、Xは日本有線大賞で最優秀新人賞を受賞した。D'ERLANGERは解散を発表、メジャーデビュー後わずか11ヶ月での解散となった。ZI:KILLからはドラマーYUKIHIROが脱退、YUKIHIROは後にDIE IN CRIES/L'Arc-en-Cielに参加する。ROSEN KREUZは1stアルバム「C.O.L.D91001」をSSE/COLDEARTHからリリース、サポートドラムとしてTHE OTHERSIDE/SPEED-iDのHALが参加している。ROSEN KREUZにはVAMPS/特撮などのドラマーとして知られるArimatsu、後のDEF.MASTERのメンバーが在籍していた。

(写真:X@12月9日東京ベイNKホール "X FILM GIGS 〜血と薔薇にまみれて〜")

激動の80年代ヴィジュアル系創成期を経て遂に黄金時代の幕が上がった1990年。創成期を支えたレジェンドバンドたちがインディーズシーンからメジャーへ進出を果たした。そしてBUCK-TICK「悪の華」、D'ERLANGER「BASILISK」 、ZI:KILL「CLOSE DANCE」などの後続バンドの聖典となった歴史的名盤が産み落とされ、これらは次世代への胎動に繋がっていく。またXの爆発的人気とその破竹の勢いはとどまる事を知らず、メジャーもインディーズも巻き込みさらに大きなうねりとなっていく。


TEXT:管理人

2020年02月01日


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