オールドスクールヴィジュアル名盤解放地帯「X - Vanishing Vision」

X / Vanishing Vision (1988)

収録曲

01. DEAR LOSER

02. VANISHING LOVE

03. PHANTOM OF GUILT

04. SADISTIC DESIRE

05. GIVE ME THE PLEASURE

06. I’LL KILL YOU

07. ALIVE

08. KURENAI

09. UN-FINISHED


生ける伝説「X JAPAN」が、1988年にリリースした歴史的名盤だ。

YOSHIKI設立のエクスタシーレコードよりリリースされ、記録的なセールス、インディーズながらメジャーチャートにランクインなど、日本のロックシーンに金字塔を打ち立てたモンスターアルバムである。


Xを語るうえにおいて「メタル」というカテゴライズが常についてまわる。

しかし、既存ジャンルの物差しでは、彼らの魅力の核心にまで迫る事は難しい。

「ロックとはこうあるべきだ」「メタルとはこうあるべきだ」「歌謡メタルなんて邪道だ」

Xの本質を知るためには、そういった既成文化にアイデンティティの拠り所を求める権威主義的な価値観を捨てるべきである。


造詣が深い方ならご存知だろう。

YOSHIKIは、メタルとカテゴライズされる事を嫌っていた。

「このジャンルはこうでなくちゃとか好きじゃない、音はメタルっぽいけど俺たちはハードコアパンクの精神を持ってる。メジャーのシステムとかジャンルとか、そういうのを全部ぶっ壊してやりたい。」

Xとは、メタルとハードコアのクロスオーバーから生まれたカテゴライズ不能の存在だったのだ。

(この辺りは、以下の記事も併せて読んでいただきたい)

メタルの構築美とハードコアの暴力性。

YOSHIKIのジャパコアをさらに過激にしたような激走ドラムスタイル、クラシック要素、耽美世界。

それらを軸に、究極のバランスでVanishing Visionの世界は構築されている。


HIDEはグラマラスなロックンロールセンスをXに持ち込んでいる。

それに加えて、HIDEは日本の80年代パンクシーンを彷彿とさせる雰囲気をXに与えている。

HIDEの部屋で行わるシアトリカルかつサイケなパフォーマンスは、ポジパン/トランス系バンドからの影響を感じさせる。

寺山修司的アングラ演劇世界を展開していた、オートモッド周辺の雰囲気も醸し出しているのだ。

また、HIDEには遠藤ミチロウのような雰囲気もある。横須賀サーベルタイガーでは、生肉を食いちぎり、マネキンを破壊していたそうだ。

「Xの飛び道具」と称されていたのも頷ける。

そういった要素も、サブカルチックにならずに消化しているのは、HIDEの絶妙なポップセンスのなせるわざであろう。

横須賀サーベルタイガー「SADISTIC EMOTION」をリメイクした、HIDE作曲「SADISTIC DESIRE」はそういったHIDEのセンスが詰め込まれ、YOSHIKIの世界観をより極彩色のものにしている。


フュージョンなどの要素も取り込んだ、TAIJIの天才的なプレイとセンスも全編を通し冴え渡り、

このアルバムのオープニングを飾るインスト曲「DEAR LOSER」では作曲者TAIJIの王道HR/HMセンスをいかんなく発揮している。

TAIJIは他のメンバーの非メタル宣言とは反し、Xは純粋なメタルだと発言している。

だが、そういったTAIJIの王道HR/HMセンスはXを破天荒なバンドで終わらせず、上質なロックサウンドとして成立させている。

またTAIJIは、YOSHIKIとHIDEに勝るとも劣らない強烈な存在感を放っている。

いかにもバッドボーイズロッカー然とした、華やかでワイルドなスタイルに憧れた者は多いだろう。


職人気質なPATAのプレイと存在はバンドに調和とバランスをもたらし、Toshlがもつ天性の歌声と卓越したヴォーカリゼイションが、その世界を完璧に紡ぐ。


衝撃的なジャケット、若さゆえの荒さ、当時のレコーディング技術による音質。

それら全てがプラスに作用し、このアルバムには革命前夜ともいえるあの時代の空気感が、完全にパッケージングされている。


前時代的になりつつあったインディーズシーンを塗り替えたXは、このアルバムのリリース後、活動の場をメジャーへ移すこととなる。


Vanishing Vision。

それは、新たな時代の到来を告げる気高きファンファーレだったのだ。

TEXT:管理人

2018年3月22日


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